廃物利用による板金用工具の自作

                                   1999.2.13

 素人レストア後7年目にして各部に錆が再発、手直しを余儀無くされた箱スカですが、運転席のドアの下端部の錆による穴を塞がなければならなくなりました。当時は知識、技術、道具、全てが不十分でしたので、試行錯誤の末FRPで穴を塞いだのです。暫くは何の不具合も無く綺麗だったのですが、最近になって鉄板と剥離し始めていました(異種の接合ですので仕方ない事なのですが)。
「近々補修しないとなぁ...」
そう思いながら今日まできたのですが、先日の塗膜の脱落(笑)をきっかけに今回きっちりと対処する事にしました。
 さてその穴ですが、場所的にある程度強度も必要です。FRPはその点クリアするのですが、やはり長い年月で鉄板から剥がれる恐れがあります。おまけに樹脂が硬化する段階で若干変型(硬化すると収縮するようです)します。
そこで今回はドアと同じ材料である鉄板を張り合わせる事にしたのです。

 しかし鉄板を張り合わせると言っても、そのまま上に貼ったのでは鉄板分の段差が出来てしまいます。かと言って「突き合わせ溶接」する道具も腕も(笑)ありません。
 そこで...

 上の図のように下側の鉄板に張り合わせる板厚分の段差を付けてやれば良い訳です。
このような段差を付けるための工具も存在します。エアツールなのですが、その値段は安い工具ショップで15,000円です。恐らく綺麗に正確に加工出来るのでしょうが、そう頻繁にこんな作業をする訳ではありません。いや?するようでは困ります(笑)。
そこで今回はお手軽に廃物工具を利用しての自作にチャレンジです。


 上図のようにプライヤーなどの工具で鉄板をプレスして曲げれば良さそうですしかし、鉄板をプレスする訳ですから、それなりの「パワーのある工具」でなければなりません。
その形状等からウォータポンププライヤーが最適と考えました。こんな感じでプライヤーを加工してやれば良いはずです。これならヤスリ1本で出来るじゃないですか。楽勝楽勝...と思いきや...
 これの先端は大きくえぐられており密着するように加工(研削)出来ません...


材料 ※以下の全ての画像はクリックすると拡大画像が表示されます
 右側が今回のドナー(購入価格¥980)、左は車載用に使っているもの(購入価格¥1,480)です。
実は共にJIS規格品でメーカーは同一(ただし二流品)、刻印の型番も一緒です。
しかし良く見ると各部に違いがあるのです...

 (1)の部分、先端は¥980物は少しずれています。¥1,480物はきっちりしています。
 (2)の部分、アジャストのノッチ部分は、¥980物はノッチ部にリブがかかっています。¥1,480物はきっちりと平らな部分にノッチがあります。
 これが¥500の差か?(笑)

 参考までにガレージで使用しているKTC製と比べてみます。
¥1,480物は遜色無い感じです。

 工具比較はこのくらいで(笑)、さて「先端」をどうするか...
考えた結果、もう1種類の工具にドナーとなってもらいます。

 これがその工具、モンキー(正式名称はアジャスタブルレンチと言います)です。ガレージで使用していた物ですが、BAHCO製を使っているので全く使用しなくなった物です。一応JIS物ですが当然二流品(笑)。
これの先だけバッサリと切断します。


 ウォーターポンププライヤー(以下「Wプライヤー」)をバラし、これも同様に先端をカットします。上側がカットした先端、下側がモンキーの先端です。
当たり面の広さの違いが解ると思います。


 そのモンキーの先端をWプライヤーにアーク溶接で溶接します。


 それを元通り組み立てて、先端の合わせ面をヤスリでクランク状に仕上げます。

 これが先端部です。
このクランク状の段差によって、鉄板を挟んだ時に板厚分の段差をプレスしてくれるという訳です。
果たして想像通り上手く段差が作れますでしょうか?(笑)


 分りやすいようにアルミ板をプレスしてみました。
まぁまぁの出来ですね。実際使用する鉄板でもテストしましたが一応良い具合に段差を作り出す事が出来ました。
 今回は他の作業の合間の待ち時間に製作したので、アバウトな作りです(笑)。時間のある時に改良型2号機を製作しようと思います。
でもエアツール買った方がお得かな?(笑)


 と、工具製作の報告でした。
これを使って加工した様子はまた後程掲載します。
このように工具は自作出来るものが沢山あります。ちょっと考えるだけで便利な自分だけのオリジナル工具が出来ますので、皆さんもチャレンジしてみて下さい。2万円程のアーク溶接機があるだけで色々な物が製作できるはずです。
私もまだ作りたい物が沢山あるのですが、なかなか時間が無いですね。