箱スカ チューニング日記 1999年6月1日〜  憧れの3.1リッター化計画(6)

ヘッドの加工、組み立て
 暫定仕様ヘッドのポート研摩、合わせ面のオイルストーン研摩も終えて、いよいよ各パーツの組み込みに入りました。主な使用パーツは
・75度カムシャフト(カムリフト量8.6mm→いわゆる「ハイリフト」ではありません)
・9,000rpm対応バルブスプリング
程度です。その他はノーマルを使用します。
また、それに伴って
・ステムシール交換(純正部品)
・バルブ摺り合わせ
・バルブスプリングセット長合わせ(1mm&0.8mmワッシャーによる)
を行いました。
 決して改造度の高いヘッドではありません。予想性能は7,500rpm常用の250馬力といったところでしょうか?(希望的観測(笑))
最終的にはビッグバルブ&ハイリフトカムで300馬力オーバーを狙いたいと思っています。
 

※画像をクリックすると拡大画像が表示されます。


 まずはバルブ(ノーマル)のカーボン落とし&磨き作業です。
ボール盤にステムを傷付けないように装着、回転させながらワイヤーブラシ、サンドペーパー等で磨いていきます。
私はCRC556を吹きながらワイヤーブラシで粗方カーボンを落とし、その後、サンドメッシュ(網状のサンドペーパー)で同様にCRCを塗布しながら磨き込みました。
作業中は発熱しますので火傷や、巻き込みに注意しましょう。


 バルブ12本(2バルブで良かった〜?(笑))を磨き終えたら今度はヘッドのバルブシートとの当たり面の修正、バルブ摺り合わせを行います。
通称「タコ棒」と呼ばれる吸盤の付いた棒にバルブの頭を密着させ、合わせ面に「バルブコンパウンド(粗さ数種類あり)を塗布し、回転させながらシートに叩き付けるような感じで擦り合わせを行います。
慣れないとなかなか進まないのですが、これがリズミカルに出来るようになると、いかにも「エンジンをチューニングしてる!」という風に見えるかも...(笑)
 再使用のバルブ&シートであればそれ程長い時間行う必要は無く、当たり面を確認しながら数十打程度/1本、行えば良いでしょう。


 「タコ棒」と摺り合わせの友、麦燃料です(笑)。
決してビールを塗ながらバルブ摺り合わせを行うのではありません(笑)。
しかし、真夏日の炎天下、体を動かす単純作業は堪えますね〜。
 タコ棒は太さが何種類もあり、バルブ径に合わせて選択します。1本300円程度で購入できます。作業するバルブよりも直径で1cm程度小さいくらいが使い易いように思います(ぴったり同じ径だと吸盤がすぐに外れてしまう)。
バルブコンパウンドはジャリジャリした粘度のある物で、荒目、中目、細目があるようです。再利用バルブ&シートであれば細目で良いと思います。


 摺り合わせも完了し、いよいよバルブスプリングを組み込む訳ですが、ここで注意があります。
バルブスプリングにはスプリング線径と巻数、使用するカムのリフト量に関係する「セット長」があります。
これはバルブスプリングを組み込んだ状態での取付長で、これが適正でないと線間密着を起こしたりして性能を発揮できません。
このセット長の調整はスプリングの下にワッシャーを入れて調整します。
 左図のインナースプリング座面からバルブステムの頂点までの距離が「セット長」です。ただし、これはオフセット量ゼロのリテーナーの場合で、オフセットリテーナーを使用した場合、そのオフセット量を加算しないといけません。
 私の使用したバルブスプリングはカムリフト8.6mmの場合で40.0〜40.5mmでした。
下画像のような測定の結果、インテークに0.8mm、エキゾーストに1.0mmのワッシャーで規定値内に収まりました。
※ワッシャーはインナー&アウタ−に同じ物を同数入れます。


 セット長はノギスのデプスバーを使用して測定します。
参考までですが、測定工具は「ミツトヨ」がお薦めです。


 そしてスプリングの取付け..とその前にステムシールを交換します。
前述の「バルブスプリングワッシャー」のインナーを入れた後、シールを嵌め込みます(後からでは入りません)。
その後、バルブスプリング上下の指定あり→一般的にはペイント等で指示されていますが、不等ピッチのピッチが細かくなっている方が「下側」です)を組み込みます。
写真に写っているスプリングコンプレッサーは自作で2,000円程度しかかかっていませんが、現在は輸入格安工具店などで安い物も販売されているので考慮しても良いと思います。
 スプリングの上にリテーナーを乗せ、コンプレッサーで縮めておいてコッターをピンセットやマグネットドライバーなどで入れてやります。この時、エンジンオイルの塗布を忘れずに。


 12本のバルブが装着完了です。
この後、リテーナーの頭をプラスチックハンマーやゴムハンマーで軽く叩いて馴染ませます。


 念のためスプリングをセットした時点でもセット長の確認をしました。
結果は大丈夫、一安心です。


 その次はカムシャフトの装着です。
まずはカムホルダーをヘッドに付ける訳ですが、今回1.5mmの面研ヘッド+1.0mmのブロック面研という事で、そのままだとカムの位置が下がる(クランクに近付く)訳です。そうなるとカムチェーンのたわみが発生し、バルブタイミングも狂い好ましくありません。
そこでカムホルダーとヘッドの間にスペーサーを入れてやる訳です。今回は最大の2mmのスペーサーを入れています。


 カムにはオイルを塗りながら傷を付けないようにゆっくり入れて行きます。
手でカムが回ることを確認した後、カムスプロケットをノックピンに合わせて装着します。
今回はスライド調整機構を持った物を奢りました。

 これでヘッドはほぼ終了です。ロッカーアームの装着等が残っていますが、これはブロックに装着してカムチェーンを付けてからにします。
いよいよブロックの作業に突入です!!

(続く)

※チューニングについての内容、理論等についてはこの内容が全て正しいというものではありません。色々な情報、資料、経験を元に私が判断したものです。また、私のクルマに有益なチューニングであっても全てのクルマにおいて通用するとは限りませんのでご注意下さい。
また、皆様でエンジン製作に関してのノウハウや参考意見などございましたらお知らせ頂ければ幸いです。